メータータクシー

ヤンゴンでの仕事が終わり、ホノルルに向かう途中。マニラで一泊のトランジット。学生と一緒にいるときはいつも、マラテのペンションに泊まるのだが、今回はマカティのホテルに泊まることにした。すぐに空港に向かわなければならないので、あまり空港から離れている場所はいやだと思った。いつも、途中の渋滞にいらいらさせられるからだ。
 マニラの空港からホテルまでタクシーで行くことにした。まず、空港で両替をした。1万円が5000ペソになった。空港には3種類のタクシーがある。メータータクシー、固定料金タクシー、白タクの三つである。昔は、白タクでダウンタウンまで行ったが、白タクは注意をしないとぼられたり、変な方向へ連れて行かれたりする。その後、固定料金のタクシーを使っていたが、料金が高い。空港からだと倍以上の料金を払わないといけない。しかし、しっかりと目的地まで連れて行ってくれる。最近は、メータータクシーが空港にも置かれ、よく使われているようだ。
 そこで、私も今回はメータータクシーを使うことにした。空港専用のメータータクシーだ。乗り込むと、ドライバーがやたらと話しかけてくる。「かわいいお姉ちゃんがいるところに連れて行ってあげる」「そこに行くといっぱい女の子がいて楽しいよ」めんどくさいので、適当に返事をしていた。「今度別の機会に行くから」「今日は疲れているから次にしよう」そうこうしているうちに,ドライバーはダイナスティーというナイトクラブの前まで行くではないか。周りをよく見るとそこはロハス通り。目的のマカティとは別の方向である。「だれが、ナイトクラブに連れて行けと行った!!俺は疲れているんだ。遠回りをして料金を余分にとろうという魂胆だな。俺は料金を支払わないぞ。警察に訴える」とわからないことを口走り、怒り心頭に発する態度を示した。いつも、フィリピンを一人で訪問するとき、このような不快な思いをする。おじさんが一人でフィリピンに来る目的はひとつしかない。それは「おんな」であると、日本人を相手にするフィリピン人は思っているようだ。タクシーの運転手、ホテルのボーイなどは必ず、面白いところを紹介するよとすり寄ってくる。
 話を戻そう。タクシーの運転手は、私の怒りを肌で感じ、平謝り。それまで、「女、女」と騒いでいたが、じっと黙る。ロハス通りに来たときにメーターをみると、500を超えている。そして、メーターは目の回るように早く動く。このメーターは何なんだ。1メートルごとに数字がどんどん上がってくるように感じる。おまけに、渋滞。さすがに、渋滞の時にはメーターはあまり動かなかった。それでもどんどん上がっていく。1000を超えた。遠回りして、1000ペソを要求してきたら、払わないようにしよう。せいぜい500ペソかな,と思った。それでも払いすぎだ。運転手は小さくなり、じっと黙り込む。代わりに私がしゃべり出す。「なんてこった。おまえがロハス通りに向かうからまた渋滞に巻き込まれたのではないか。俺は疲れているんだ。早く,ホテルで休みたい。おまえはタクシーのドライバーなのに、俺の方がマニラの地理をよく知っている。本当にこの方向でいいのか?」運転手は、小さくなり無線で,ホテルのありかを調べてほしいと連絡を取るが,逆方向に行ってしまったりする。私に脅かされて,気が動転してしまったのか。うろうろしているとやっと、リトルトーキョーというホテルの近くのエリアにたどり着く。しかし、ホテルが見つからない。ふと、ビルの屋上をみると、ホテルのネオンが見えるではないか。しかし、その入り口は一方通行になってはいることが出来ない。運転手は、オドオドし始めた。そこで、「もういい、ここでおりる.いくらだ。」と行ったところ「120ペソ」と答えるではないか。1000ペソ以上を要求されると思って身構えていたのだけれど、120ペソと言われて気が抜けてしまった。たぶん、メーターの読み方が違ったのか、運転手が私の怒りにおびえ、安い金額で請求したのかわからない。
 まあ、120ペソならば相場か,とお金を払い、ホテルに向かった。

こう書くとフィリピンというのは、怖いところだと思われるかもしれないが、フィリピン人は心優しいいい人ばかりである。マニラの観光客相手のすこしの人たちは、少しでもお金を旅行者からせしめようとするが、それはごく少数である。

ヤンゴンでは、ブログへのアクセスが出来なかったが、マニラではスピードもアクセスも十分である。今日の出発は,午後7時。一日ゆっくりとマニラを満喫できる。